「観察力」と「空気を読む力」

方落語に「京の茶漬け」という噺があります。

噺の本題に入る前の京ことばの解説が興味を
ひくものです。

主人が留守の間に訪れた客と留守を預かる
妻とのやり取りでのこと。
「何もおへんのどすけど、
ちょっとお茶漬けでもどうどす?」

京都特有の婉曲表現で、来客に帰宅を暗に
うながす京都ならではの言い回しだそうです。

「お茶漬け程度のおもてなししかできない
ので、日を改めてまた来てください」の意味
に解釈してください、とのこと。

京都に限らず、その空気感に気づき早々に失礼する
ことがマナーだとは思いますが。

そもそも食事時に訪ねたり、そんな時間まで
お邪魔していることが失礼なことですよね。

起業する前、会社勤めをしていた時のこと。
社長を訪ねて取引銀行の新任支店長の来訪が
ありました。

その方が帰られた後の社長のコメントを、
なぜか今でも思い出すことがあります。

「ゴルフの話ばかりして帰っていったよ。
最近の景気動向など聞きたかったのに!」

ビジネス現場で時々出くわすようなシーンですね。

会話での空気とは、どういう人たちが、
何のためにお話ししているのか、話の目的や
話の方向性のことです。

会話の空気の流れに気づかなければ、
「空気が読めない」ということになってしまいます。

すべてのコミュニケーションにおいて大切な
ことがあります。
・今、話している相手はどんな人なのか?
・どんな話をしようと考えているのか?
・何を目的として話しているのか?

このような観察力を高めれば空気を読むことができます。

間には場を和ませたり、
楽しませたりできる、
空気を読むことに長けている人がいます。

逆に、楽しい雰囲気を壊す人、場を凍らせて
しまう人もいます。

「あなた、空気読みなさいよ!」と言いたく
なるような人のことです。

ふだんは無意識のうちに空気を感じながら
会話をすることが多いですよね。

そうでないと、空気を読むことばかりに意識
がいき疲れてしまいますから。

さすがに、初めての訪問先や、初対面の人との
会話では、どんな人なのか、どんなことを考え
ているのか、探りながら話を進めようとします。

相手のことを観察しながら話しが進んでいく
ことが多いですよね。

この観察力が高いと話題に困ることもなく、
その場の空気を読むことができます。

手を観察していくと、多くのことに気づきます。

空気を読むということは、顔色をうかがったり
媚を売ることではありません。

細かなことに気づけば相手との距離も縮まり、
その場の空気を壊すようなことはありません。
話題に困ることもないのです。

話している場所の周りの風景や雰囲気、相手が
身に付けている持ち物など話のネタにすればいいのです。

プライベートな時間を過ごしている時は、
このように雰囲気を大事にしながら会話を
重ねていけばいいでしょう。

一方、ビジネス現場でも空気を読む力が必要
になります。

仕事ができるビジネスマンが空気を読む時は、
相手はもちろん自分にとってもベストプラン
だと判断して実行しようとしている時です。

その場の雰囲気に迎合する能力ではありません。
課題解決のために、具体的なプランを最適の
タイミングで提出できることが、
「空気を読めている」ことになります。

ところが、空気を読むことは良いことばかり
ではありません。

周囲の雰囲気に気を遣うあまり、自分の意見を
主張したい時に躊躇するようになってしまいます。

場の雰囲気に従って正しい判断ができなくなる
こともあります。

敢えて、空気を読まない勇気も必要な時もあります。

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